請求書を送ったり、支払う際、1円未満の端数が生じることがあります。
この場合、端数を切り捨てるのか、四捨五入するのか、切り上げるのか、処理に困ることはありませんか?
結論を言いますと、債務の支払金につき端数が生じた場合の処理方法については、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」3条1項で規定されており、50銭未満の端数があるときは切り捨て、50銭以上1円未満の端数があるときは切り上げて1円とします。
ちなみに、銭とは円の100分の1、厘は銭の10分の1です(同法2条2項)。
ただし、特約があるときは特約に従います(同法3条1項ただし書)。また、当事者が国または公庫等である場合、1円未満の端数は切り捨てられます(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律2条1項)。
細かいところですが、実務上、迷うことがあると思いますのでご紹介します。
適用法令
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
第3条(債務の支払金の端数計算)
(1項)
債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に50銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が50銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に50銭以上1円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が50銭以上1円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を1円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。
(2項)
前項の規定は、国及び公庫等(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和25年法律第61号)に規定する国及び公庫等をいう。)が収納し、又は支払う場合においては、適用しない。
国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律
(国等の債権又は債務の金額の端数計算)
第2条
(1項)
国及び公庫等の債権で金銭の給付を目的とするもの(以下「債権」という。)又は国及び公庫等の債務で金銭の給付を目的とするもの(以下「債務」という。)の確定金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする。
(2項)
国及び公庫等の債権の確定金額の全額が1円未満であるときは、その全額を切り捨てるものとし、国及び公庫等の債務の確定金額の全額が1円未満であるときは、その全額を1円として計算する。
(3項)
国及び公庫等の相互の間における債権又は債務の確定金額の全額が1円未満であるときは、前項の規定にかかわらず、その全額を切り捨てるものとする。
(弁護士 井上元)